純陽の日

芝桜

ピンクと白

丘の斜面



眺めてた



ピンクと白の   芝桜

喜ぶ母



幸せそうな    家族

カート      エンジン音



芝生に      腰をおろし

子どもたちの笑い声

聞く



ソフトクリーム   なめて

母とふたり     歩く



ソフトクリーム   口に運ぶたび

立ち止まる     母



食べ歩き      出来ないこと

初めて       知った

母の無邪気さ



ピンクと白     芝桜

春の日射し


温かな   思い出

やまゆり

薄暗い   山道

小雨    ささやき

姿なき鳥  鳴き声  響く



怯えながら

てくてく  歩く


梅雨の空

雨雲   低く

気だるく 広がる 



ミラー   見上げ

カーブ   まがる



甘い香り

乳白色    ヤマユリの花



色気を放つ

ヤマユリ


わたし

ふらふらと

ヤマユリに手をかける



静けさを    切り裂く

鳥の鋭い声に


ビクッと

体     ふるわせる



怪しい   ヤマユリ

手に取って


逃げ出すように

坂   くだる



残り香    ヤマユリ

ぬかるみに

足    とられ


小雨   ささやき

霧    駆けおりる。



怪しい  色香の  ヤマユリ

魅惑の  罠を   仕掛けられ


まんまと    はまる

ヒメジョオン

ランドセルが歩いてる

たくさんのランドセル


ふざけて笑いあう

子どもたち


車  徐行し

ブレーキに足をおく


歩道  とぎれて

子どもたち

まばらに  歩く

通学路


ふざける子ども  いなくなり

ほっとして

息を吐く



アクセルに   足を乗せ

スピード    あげる


ちいさな体   大きなランドセル

白いヘルメット  ゆらし

自分の背丈より大きい   

ヒメジョオン

根っこごと    引きずり

歩く       一年生


黒いランドセル

ぶかぶかのヘルメット

青い靴


にこにこしながら

力いっぱい   

大きなヒメジョオン

引きずり歩く

男の子


お花の好きな    ママなのかしら



大好きな      ママ

喜ぶ顔       思いうかべて



わくわくしながら

汗だくになりながら

大きなヒメジョオン

引きずり歩く



きっと

お花の好きな   ママなのでしょう



きっと 

ママのこと    大好きなのね




男の子より

大きなヒメジョオン



驚く

ママを

想像する




たぶん

そう…





男の子のママ

驚いた  あと

きっと

ヒメジョオンを庭の片隅に

植えてくれるでしょう



きっと

ママにとって

どんなに珍しい  高価な花より

特別で大切な花になるのでしょう。



わたし

ひとり

想像し



こころ     ぽわんと

温まる   



大きなヒメジョオン

ちいさな男の子



通りすがりに

もらった

温かな

ストーリー

夏のしあわせ

かき氷

ガリガリ

氷   削って

鼻歌を





かき氷

ガリガリ

氷    削る

幸せの音



白い氷  ふわふわ

落ちて

ガラスの器

舞い降りた淡い雪




かき氷

ガリガリ

氷    削って

ニコニコしながら



ふわりふわりと

白い雪

落ちてくる



赤いシロップ

かけて


白い練乳

たっぷりと



かき氷

ガリガリ   削り



ウキウキしてた

赤いシロップ

夏の夕暮れ

夏  

逃げ水

夕焼け




ケイトウ

ダリア



夕焼けの美しさ




オレンジ色

紫色

灰色



移りゆく

夕焼け



淋しさと

優美


美しさと

哀愁


夕焼けのダンス

色のコントラスト





ケイトウとダリア



見かけると思い出す



幻想的な夕暮れのアート

感動と虚しさの

自然の芸術

ブランコ

小学校

忘れ物をとりに戻った


みんな帰って

静かな学校


鼓動高鳴り

立ち止まる



いつもと違う

静かな校舎



わたしを拒む

冷たい校舎




やっぱり   帰ろうか



片隅に    寂しげな  ブランコ



ギコギコ   ギコギコ

いびつな音をたて

ブランコを漕いでみる


ギーコギーコ  ギーコギーコ

ギコ   ギコ

校庭に響く


勢いをつけて

このまま  教室に

行けたらいいな



ギーコギーコギーコ

ギコギコ

ギーコ



ブランコ  揺らし

風をおこす



ギーコギーコ   ギコギコ   ギーコ


ブランコと一緒に

ギーコギーコ   ギコギコ   ギーコ


このまま空に

飛んで行けそう



ギーコギーコ   ギコギコ  ギーコ

風と一緒になれる気がしてきた




眼を閉じて

魔法使いのほうきのように


ギーコギーコ   ギコギコ  ギーコ




突然  


名前  呼ばれて

足を地面に




担任の驚いた顔

横目に見る

 



忘れ物

取りに行き



砂利を踏む




砂利を見続け

とぼとぼと

ひとりぼっち

歩いてる

真夏の月光

真夏の夜

じとっと  生ぬるい風

体を撫でる

苛つく  暑さに

帰りたい

そう思ったとき




目の前に広がった     黒い海



一筋の道をつくる
 
神々しい満月



胸   ぎゅっと   縮み

背筋  少し   寒くなる
  



すべてを忘れさせる

妖精の舞

月の光の素粒子




あれは   天使


あれは   妖精



不思議な   美の世界に

引き込まれ


身体   宙に  浮かぶ



満月の夜



黒海に   うかぶ

月の道



神秘の世界に紛れ込む。