やまゆり

薄暗い   山道

小雨    ささやき

姿なき鳥  鳴き声  響く



怯えながら

てくてく  歩く


梅雨の空

雨雲   低く

気だるく 広がる 



ミラー   見上げ

カーブ   まがる



甘い香り

乳白色    ヤマユリの花



色気を放つ

ヤマユリ


わたし

ふらふらと

ヤマユリに手をかける



静けさを    切り裂く

鳥の鋭い声に


ビクッと

体     ふるわせる



怪しい   ヤマユリ

手に取って


逃げ出すように

坂   くだる



残り香    ヤマユリ

ぬかるみに

足    とられ


小雨   ささやき

霧    駆けおりる。



怪しい  色香の  ヤマユリ

魅惑の  罠を   仕掛けられ


まんまと    はまる