水しぶき

子どものころ

連れられて


セミの鳴くなか

滝を見に行く



人混み   苦手なわたし

ひとり歩いて

誰もいない場所に行く



白くなった  大量の水

勢いよく流れ去る

水の大群


大きな悲鳴   あげながら

大量の水    流れ去る




本当は     嫌なの?

行きたくないの?


水しぶき   浴びながら

水の悲鳴を聞いている



小鳥   1羽   滝のなか

あっという間に   消えていく



凄まじい   水音

圧倒され


頭      真っ白

くらくらと

目の前    真っ暗

昼下がり



母の呼ぶ声  聞こえずに

水しぶき浴びながら

ひとり

柵に手をかけ  

口開けて


滝にのみこまれた    錯覚に




記憶はとぎれて     夢のなか




気付けば

ベンチ    座ってる


お弁当広げて

ぼんやりと  


食べなさいと促され

箸をおいて

散歩する




お土産屋さんで

水まんじゅう

サイダー買って

車乗る




幼い頃の記憶

追いかけて


久しぶりに行ってみる。




大人になったせいなのか


横長の普通の滝が

見えるだけ。



古ぼけたお土産屋さん

水まんじゅう





なにもかもが   古ぼけた

メッキの剥がれた

滝壺に


誰かの思い出

捨てようか。