消えていく虹
虹を見た
ハンドルをきり
虹 追いかけてみる
運動公園 駐車場
あわてて
車 おりる。
小走りに
虹の近くに
あっという間に
消えていく 虹
息をきらし
歩きだす
雲を背に 小さく消えていく
虹を眺める
ため息…
わたしは いったい
なにを
なにを したかったのか
捕まえられないと
知っていながら…
なにを しているのだろう
なにを 求めて
なにを 手にしたくて
あんなに 慌てて
虹を 追いかけたのか
手の届かない 虹
届かない 思い
惹かれて
引き寄せれて
手を伸ばしたくなった
届きそうで
届かない
わたしの思い
からかうように
翻る
消えそうで 消えない
思い
突然 あらわれ
消えていく
あの虹のように
儚い 思い
つのる 思い
ちいさな温泉
車で10分
古い小屋
母に付き合い
目をこすり
起き抜けに 向かう
朝 5時半
ちいさな温泉
夏休みの中学生には
ハードな時間
ちょっと 寝とぼけて
車 乗り込む
コンドルは飛んでいく
サウンド・オブ・サイレンス
甘く 優しい 歌声
切ない 旋律
ちいさな温泉にいつも流れていた
聞いたことのない
大人の歌
小窓から
柔らかな 朝日 射し込み
湯けむり ゆらゆら 歪む
哀愁の旋律
薄暗い洗い場
大人の場所に
迷いこんだ わたし
大人の世界を
覗きこむ
艶やかな白い肌
いつも一緒になる
綺麗なお姉さん
霞む 湯けむり
サーモン&ガーファンクル
聞きながら
湯船につかる
コンドルは飛んでいく
教えてくれた
お姉さん
旋律がたまらなく好きなのよ
泣いてもいいよって
言ってくれてるみたいな声
遠くを見つめる
淡い まなざし
薄暗い洗い場
柔らかな朝日 妖しく ゆらめき
甘い香り 漂う
サーモン&ガーファンクル
ちいさな温泉
綺麗なお姉さん
艶やかな白い肌
夢のような
朝の情景
水しぶき
子どものころ
連れられて
セミの鳴くなか
滝を見に行く
人混み 苦手なわたし
ひとり歩いて
誰もいない場所に行く
白くなった 大量の水
勢いよく流れ去る
水の大群
大きな悲鳴 あげながら
大量の水 流れ去る
本当は 嫌なの?
行きたくないの?
水しぶき 浴びながら
水の悲鳴を聞いている
小鳥 1羽 滝のなか
あっという間に 消えていく
凄まじい 水音
圧倒され
頭 真っ白
くらくらと
目の前 真っ暗
昼下がり
母の呼ぶ声 聞こえずに
水しぶき浴びながら
ひとり
柵に手をかけ
口開けて
滝にのみこまれた 錯覚に
記憶はとぎれて 夢のなか
気付けば
ベンチ 座ってる
お弁当広げて
ぼんやりと
食べなさいと促され
箸をおいて
散歩する
お土産屋さんで
水まんじゅう
サイダー買って
車乗る
幼い頃の記憶
追いかけて
久しぶりに行ってみる。
大人になったせいなのか
横長の普通の滝が
見えるだけ。
古ぼけたお土産屋さん
水まんじゅう
なにもかもが 古ぼけた
メッキの剥がれた
滝壺に
誰かの思い出
捨てようか。
Love Letter
甥 生まれた日
ほっとした
ちいさな手
わたしの人差し指
ぎゅっと握る
温かな思い こみあげる
姪 生まれた日
連絡がきた
ちょっと不思議な気持ち
初めて歩いた
驚きと感動
甥と姪
ふたりを想うと
不思議な気持ち
温かな気持ち
子をもたぬ 選択
いまだに 解らない
間違いか 間違ったのか
本当のことは、誰にもわからない。
正義がほんとの正義なのか
常識がほんとの常識なのか
解らなくなる
不確かな世間のなかで
正しいと言われていることが
真実なのか
解らなくなる
時代のなかで
確かなことはなにもない世の中で
ただ、選択をした。
その事実だけが横たわる。
攻撃の材料にする人
見下す人
気を使ってくれる人
疎遠になった人
いろんな選択
いろんな反応
人それぞれ
赤ちゃんのでるCM
いつしか普通に見れるようになって
子どもの姿に
心 乱れなくなる
甥と姪
あの子たちのおかげで
なんど 救われたのだろう
ただ 生きてくれている
ただ 元気でいてくれている
それだけで
救われる
誕生日
手紙を送る
愛される幸せを
より深く感じてほしくて。
あなたたちを思う人が
いることを
知っていてもらうため
手紙を贈る
愛する幸せ
ひらりとのせて。
不確かなことだらけの世の中で
確かなことは
「愛している」
ただ それだけ
きっと それだけ。