麦波

退屈な  ドライブ

後部座席  


靴を脱ぐ

だらしなく  寝転がる



父と母の声

遠くに聞く



叱られて

しぶしぶ  起き上がる



窓を開け

外に  視線  放り出す



目の前に   麦畑

風に  なびいて

波のよう


黄金の波  打ち寄せて

かえっていく

しなやかに



息をのみ

ため息をつく

このまま  やさしい  風と共に




麦の波間に  漂って



ゆらゆら   揺れて



ゆりかごに


揺られて   のんびり   眠りたい




黄金色の波を   背に

緩いカーブ    体傾き

振り返れば    



遠くに


小さな   黄金色。