飛行機雲

晴れた昼下がり

ぼんやりバスを待っていた


「ねぇ、雲」

空を指差した女性

「なんで、雲はできるの?」

ビー玉みたいな瞳

「水が蒸発してできるんだと思います。」

たじろぎながら答える。

「あの長いのは?」

飛行機雲を指差す

「飛行機のエンジンからでる水蒸気が氷になって…」

「飛行機が飛んだ後!」

大きな声で叫ぶように云いながら

なんども頷き

去っていく。


パステルピンクのTシャツ

肩を斜めに歩いていく

花柄の雨傘さして

悠々と。


後ろ姿に独特の

哀しみをもつ不思議な人。



花が咲き

太陽がのぼり

そらが青く

雲がぷかりとうかぶ


自然の情景を

あたりまえに

気にもとめず

不思議にも思わず

生きていた。



青い空に飛行機雲

あたりまえを不思議に思い

美しさに感激できる

感性を持ち続けたいと思ったあの日。



パステルピンクのTシャツ

肩を斜めに歩く

花柄の雨傘さして

悠々と


後ろ姿に独特の

哀しみをもつ  不思議な人。


いい加減にふわふわと

生きるわたしに

問いただす



ビー玉みたいな  ガラスの瞳。