霧の山頂

遠足で

山に登った


朝から

気が重い



頂上にたどり着き

座り込む



急に

霧が 辺りを  包む

刺すような  雨風


ガタガタ  震える

身体


怒り  わきあがってくる

バカみたい

こんなとこ

来たくなかった



みんなから  遅れて

ひとり  口とがらせて

滑りながら  下山する




温かい  なにかが
耳を   かすめる


連山の

霧のなかから

修行僧



黒い空

濃い霧のなか

ぼんやりと見えてくる



錫杖  持ち

風に向かい  歩いている

裳付衣   なびかせ

靄を    従え

なにかを  睨み
  
なにかを  見据え

登っていく




幻想的な  情景に
呆然と  立ち尽くす




霧のなか

なにかと  闘い

登り続ける

遊行僧



命をかけて

生きる  覚悟をした人の

凄みを知った

霧の山。