くちなしの花

「あの香りがいいのよ」

蕾に  そっと  手を伸ばす


くちなしの花

雨にうたれ

下を向く



「可哀想に」

あわてて 

駆け寄り 

手折る母。




昼間のすがたは

真珠の輝き

月夜のすがたは

妖しく色めく  美しさ



朝日に輝き

凛と咲く。



「朝露が似合うのね」

静かに  頷く。



「この香りがいいのよ。」

くちなしの花ひらく時



少女のような  微笑みに

心和む。